「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回は通信キャリアのテクニカルサポートのご経験をことりえさんに語っていただきました。


HSS型HSPのお仕事経験談No11:ことりえさんについて
まず最初にことりえさんについてご紹介します。
ご年齢 | 30代前半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | テクニカルサポート (通信キャリアのコールセンター) |
職場環境 | オフィス勤務 |
雇用形態 | 派遣社員 |
就業期間 | 2013年6月~2016年6月 |
HSS型HSPのお仕事経験談No.11:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
仕事内容は通信キャリアのコールセンターでテクニカルサポートの仕事をしていました。
モバイルWi-Fiルーターの操作方法やトラブルシューティング、スマホのWiFi設定、光回線の設定サポートなど複数の担当を兼務しながらご案内していました。
メインはお客様からの問合せでしたが、一部社内の問合せもありました。

お仕事を始めたきっかけは?
その仕事に就いたのは以前に他社の通信キャリアでコールセンター業務の経験があったり、モバイル端末の販売と契約獲得業務の経験もあったので、今までの経験も活かせそうでスキルアップもできそうと思い、この仕事を選びました。

どんな環境で働いていましたか?
シフト制だったので全員が揃うことはありませんが、一緒に働いていた人数は同じフロアに100名ほどいて、年齢層は20代~50代くらいまで幅広く在籍していました。
それぞれチームに振り分けられていて、チームリーダー含めて大体8名くらいのチームに所属していました。
不定期にそのチームが移動したり、メンバーが入れ替わったりということも。


HSS型HSPのお仕事経験談No.11:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに向いていましたか?
お客様応対がメインで共感力の高さがお客様満足度にもつながっていたので、共感力の高い人ほどお客様に寄り添って応対できていました。
かなり多忙なコールセンターだったので、電話がつながらないとお怒りの状態、インターネットに接続できないと不満や不安があり問い合わせをしてくるお客様がほとんどなんです。
そのためとことん共感して、親身になって、さらなるお怒りを発生させないよう気を配るというところもHSP気質は最適だったのかなと思います。
また電話応対だったので、聴覚の鋭さが活かせてお客様の状況を察知するのも早くできていました。
些細なことですが、電話口のお客様の周りがざわざわしていれば、「今出先からお電話いただいていますか?」と気づけたり、声色から焦りを察知すれば「お急ぎですね。少し早口でお話しますね。」と一言添えたり。
気づいてもらえるということが、お客様との信頼関係の構築につながっていました。

聴覚の鋭さがヒアリングに活かせるのは、今まで意識したことありませんでした!
自覚していなくても、聞き取る能力が高い人多そう。
この人は信頼できる人だとお客様に少しでも安心してもらえると、応対に対してとても協力的になっていただけて、応対時間が最小限で済むということも頻繁にあったんです。

ことりえさんにとって合っていたところは?
お客様と1対1でやりとりできるところです。
1対複数は苦手なのですが、この仕事は1人に対して意識を向ければいいので気持ちが楽でした。
良いところも、そうではないところも、全部自分に返ってくるところが私には合っていました。

複数人を一度に対応するのって、どこに意識を向けていいか分からなくなりますよね。


会社で用意してくれているマニュアルはありますが、そこには載っていない箇所の問合せが来た際には、ネットにつながっているパソコンから応対しつつ検索することができました。
上司の許可を得ればそのまま案内してもいい、という点も自由さがあり良かったです。
経験を積み重ねていくと、兼務する担当が1つずつ増えていくという職場でした。
探求心があり飽きっぽい気質なので、担当が増えるたびにテクニカルな知識を自ら勉強しないとついていけないというところは、飽きがこないので面白かったです。
基本は自分のデスクに座って応対をしているのですが、お客様と同じ症状を検証端末でも確認しないといけないというときには、席を立ち必要な端末を取りに行って同じ症状を起こします。
そういう座りっぱなしではなく、ほどよく動きがあるところも良い点でした。

HSS型だと、飽きを強く感じる人が多いですよね。
(私も飽きっぽい)
HSS型HSPのお仕事経験談No.11:お仕事のデメリット

HSS型HSPに向いていないなと感じた点を教えてください。
入社してから一人立ちするまでは、直属の上司に応対をモニタリングされていて、常に監視されている状況でした。
精神的に辛かったです。
応対時間や一日の応対件数の集計をとられていて、著しく悪いと指導が入ったりします。
暗黙のノルマがあるように感じて、追いつめられていてしんどかったです。
辛かったことは、お客様に怒鳴られること、罵声を浴びせられることです。
クレーマーにあたったりすると何を説明しても聞いてもらえず、一方的に責められたりもしました。
そういったクレームに何時間も応対しなければならなかったりすると、もう涙をこらえながら必死に耐えていました。
基本的に、お客様から電話をお切りにならない限りこちらは切ってはいけません。
なので切りたくても切れないという状況も、追いつめられる原因になりました。
上司と合わなかったりすると適切なフォローをしてもらえなかったり、嫌みを言われたりすることもあったんです。
チームメンバーで攻撃的な性格の人から目をつけられ、ない噂を流されたり、直接ひどいことを浴びせられました。
また聴覚が鋭いので、応対するときの声が大きすぎる人がすぐ隣の席にいる日には自分の応対に集中できないこともしょっちゅう…。
自分の席には常に3、4台のパソコンがあり、常に画面を見続けている環境です。
周りは誰かの応対している声がざわざわと聞こえて、うるさく感じていました。
なので仕事がおわったあとは目も耳もひどく疲労し、帰り道は疲れすぎて自分のスマホを見るのも嫌になるくらいでした。

大勢がいるフロア、目と耳からの刺激も多い職場は、慣れるまでに時間がかかる…というより、慣れる日が来るのか?!ってくらいハードな環境ですね。
人数が多いと、その分人間関係も複雑になるし…。
お仕事お辞めになったのはなぜですか?


ざっくり言うと派遣契約が満了になったこと、体調を崩してしまったことが理由です。
1日中応対し続けなければならず、喉を傷めて扁桃腺が腫れやすくなりました。
お医者さんからも「仕事辞めるわけにはいかないの?」と心配されるほどでした。
お客様応対で精神的に疲れてしまい、体調不良で休みがちになってしまいました。
兼務する担当ももう増えない、というところまで知識やスキルも身についたので、やりきった感があったのもやめた理由の1つです。
お客様とお話をすることは今でも好きですが、体調を崩してまで長時間行うのはよくないなと思いました。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
ことりえさんのきめ細かな応対が、お客さんとの信頼関係を築く上で役立っていたんですね。
印象的だったのは、聴覚が敏感なためにヒアリングの能力に長けているということです。
今まで耳から入る刺激だけにフォーカスして考えていたのですが、新しい発見で強みになりうるポイントだと気付けました。
コールセンターでは仕方がないことですが、大人数のフロアでの就業は刺激が多いですよね。
長く働くには自分でできる工夫と、周りの人の配慮が必要だと感じました。

ことりえさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!

