「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
詳しくはブログ記事と以下のツイートをご覧ください。
今回は産業機械のサービスエンジニアのご経験をTBさんに語っていただきました。


HSS型HSPのお仕事経験談No.33:TBさんについて
まず最初にTBさんについてご紹介します。
ご年齢 | 40代後半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | 産業機械のサービスエンジニア |
職場環境 | 客先に出向、 または自宅リモート勤務 |
雇用形態 | 正社員 |
就業期間 | 2018年10月〜現在 |
HSS型HSPのお仕事経験談No.33:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
はじめまして、TBと申します。
産業機械のサービスエンジニアをしています。
職歴は20年以上で、主に海外からの輸入機械を対象に英語を使って業務をしています。
現職は4社目です。
ある北欧系外資系企業において、工場や船舶で使われる機械装置の分解整備を行う際のスーパーバイザー(作業指示、技術指導)として、アジア太平洋地域の客先にて出張で業務を行っています。
出張先の割合は海外が8割で国内が2割程度で、2週間前後の出張と1週間程度の自宅業務というのが主な勤務サイクルです。
所属しているのは日本法人ですが、実際の業務連絡はタイにある所属部署のオフィスとやりとりをしています。

このお仕事を始めたきっかけは何ですか?
入社の経緯は、前職の某輸入代理店でサービスマネージャーを6年ほど経験したところで退屈していたのと、「ここじゃない」感を抱いていました。
あと私が心底から好きなのは機械の傍らで英語で仕事をすることだと気づき、転職をすることにしました。
人事エージェントにコンタクトをして紹介していただいた中から、英語を使う、海外出張がある、そしてお互いにマッチングしていた現社に2018年から合流しました。
今年で約2年になります。

なぜサービスエンジニアを選んだのですか?
まずは子供の頃から自転車をいじったりとか壊れたものを拾ってきて分解したりが好きだったというのが大きな理由です。
あとは人より機械のほうが一緒にいて楽だというのもあります。
そして1人旅好きの私にとって、会社のお金で旅行できるというのも続いている理由です。

どんな環境で働いていましたか?
職場は日本に同じ事業部の営業職が1名、同僚がアジア太平洋地域で約10名、年齢層でいうと私は若干上のほうになります。
あとはタイにマネージャーと事務がいます。
大半の案件では1人で出向しますが、大規模案件の場合は同僚と赴く場合もあります。
雰囲気としては、グローバル企業らしく多様性に富んだ、フラットでかつチャレンジングな感じがします。
この体験談を書いている2020年8月現在は、Covid-19の影響下で海外案件が軒並み延期となっています。
そのため国内案件と自宅での業務のみで、やや退屈しております。


HSS型HSPのお仕事経験談No.33:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに合っていましたか?
HSP目線で言えば…
感覚が優れているというところは、故障を見つけるという点でとても役に立ちます。
私は聴覚視覚が特に敏感なので、それを用いた機械の診断には有用だと思います。
あとは修理の仕事が注意深く、突き詰めていけば1つの答えに見つかるという点も、先読み・深読みで考えられるHSPならではの利点だと思います。
記憶力が優位なのも、報告書を作ったりするときに助かっています。
注意深く物事を進めるという点は、ミスやヒューマンエラーを防ぐ上でとても役に立っています。
私は人といるよりは1人でいるほうが好きなので、現職での人との距離感がちょうどいいです。
出張先以外では基本的に自宅で事務作業で、オフィスも必要時以外は行くことはなく、上司や同僚とも普段はリモートでのやり取りなので適度な距離感が保てています。
出張先ではクライアント他と接することになりますが、常時一緒というわけではなく気にならない程度です。
出張での業務なので忘れ物をしてはいけない、と準備とシミュレーションに8割方の労力を注いでしまったりもしますが、結果上手くいっているので良しとしています。
現職は英語が主言語というのも大きなポイントです。
同僚や現地の作業者とコミュニケーションを取る際は英語です。
そのため1つのクッションが間に入ることによって必要以上の感情や念が伝わってこないので、日本語での思考から解放されて頭が休まる感じがします。
あと自身の思考が考えすぎモードに陥りそうになったときに、あえて英語で考えてみるようにすることで冷静な自分に戻れるというのが新たな利点になりました。
グローバル企業の利点で色々な資質や考え方を尊重していただいているので、ありのままのわたしでいられることも大きいです。

英語で考えると、感覚が変わるのとてもわかります〜!
思考回路が変わるというか、日本語で考えるときと違う自分がいるというか…。
1人で静かに過ごす時間が持てないとパンクしがちなので、旅先で家族と離れて1人ホテル暮らしの期間があるのもありがたいです。


HSS型HSP目線では…
機械の不具合や故障の原因を見つけて直したときの、ピキーンとすべてが繋がったような快感はやみつきです!
そして新しい出張先で仕事をする体験、特に行ったことのない海外での刺激が強烈です。
日々違う仕事をおおよそ自分の好きなようにアレンジして、なおかつ現場で答え合わせができる、まるで1/1ゲームをプレイしているようで退屈はしないです。
あと新しいチャレンジや進化変化を認めてくれる企業風土があることもHSS型向きと思います。
わたしの場合も、今よりももう1ランク上のポジションに就くべく勉強中です。
男性HSS型HSPの方の中には、女性的な感受性を持っていたり、男性より女性といたほうが居心地がよい方もいると思います。
そんな方には、北欧系企業のような女性が社会進出している国の企業で働くというのは有益です。
人員的にはもちろん、物事の考え方にも差や分断を設けず多様性を尊重する環境があるので、居心地はいいと思います。

これは良い情報〜!
多様性を尊重する環境を希望している人は、外資系の中でも北欧系の企業をチェックしてみるといいかもしれません。
HSS型HSPのお仕事経験談No.33:お仕事のデメリット

HSS型HSP、TBさんに向いてないなと感じた点を教えてください。
まず、プレッシャーへの耐性とその対処法は強く求められます。
この仕事を始めた初期~中期の話になりますが、原因不明の故障の修理に赴く準備の際にいろいろと最悪の事態を想像しすぎて自分のマインドまで落としてしまうことがありました。
あとは故障等のシリアスな現場で、マルチタスク等の負荷が高まったり、客先からプレッシャーがきたりして自身の限界値を超えてしまうと、突然ネガティブモードに入ってしまったりしました。
この事には気づきを得て、今は切り替え・ブロックができるようになったので問題ではなくなりました。
自身の思考を楽天家思考にもっていく程度でちょうどいいみたいです。
(今に着目し最善を尽くし、過去や未来であれこれ心配や後悔をしない。自分の感情を客観視して受けとめる、などなど。)
予期せぬ突発事象は必ず起こるので、それを受けとめることが必要になります。
加えてその状況下で最善をつくす判断力と実行力も重要な要素です。
心配・気がかりの原因になる「○○を荷物に入れたか?」や「出かける前に○○を止めたか?」などの考えがよく起こります。
私はチェックリストを作って、それに準ずることで自身を安心させて余計な考えに及ばないようにしています。
現職はスーパーバイザー職なので、人前に出て話をしたりする機会はあります。
私は短時間ならば平気なので気にはしていませんが、苦手な方もいらっしゃるかもしれません。
聴覚が敏感で、人の話し声がその気はないのに全部聞こえてしまうので、日本国内での出張案件では作業場所周辺に多様な日本語が飛び交っていると疲れてしまいます。
英語か現地語なら聞き流せてしまうのですが、日本語は意味まで分かってしまうのでなかなか厄介です。
報告書・Eメールの作成に時間がかかる(例:体裁や文の収まりをとことん気にしてしまう)のが、英語の文章作成というプラス要素でさらに時間がかかるようになってしまいました。
以上が思いついた点ですが、現職についてはおおよそ理想形と思っていますので特に深刻なデメリットとは思っていません。

最後に、前職をお辞めになった理由を語ってくれました。
日系の某輸入代理店で働いていましたが、いわゆる日本企業の時代遅れのありかた、例えば声が大きい者が優位とか、男尊女卑とか、非効率的な点では居心地の悪さを感じました。
あと、以前に営業職に配属されたことがありましたが1年で辞めました。
人相手の仕事は私には無理でした。
感受性が強く飽きっぽいので、どんな理由であれ転職はしていいことにしています(現社で4社目)。
その代わり必ずステップアップはするよう心掛けています。


HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
日系企業ではなく、外資系(特に北欧系企業)を選んだ理由、転職はしていいことにしている、など有益な情報や前向きなお言葉がたくさん詰まったお仕事経験でした。
私も英語で考えたり話したりするとき、違う人格とまではいきませんが、考え方が日本語のそれと差がある気がします。
出張も多かったとのことなので、各地のお話も伺ってみたいです。

TBさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!