「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回は証券会社の営業のご経験をpikkaさんに語っていただきました。
HSS型HSPのお仕事経験談No16:pikkaさんについて
まず最初にpikkaさんについてご紹介します。
ご年齢 | 30代前半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | 証券会社の営業 |
職場環境 | オフィス勤務 |
雇用形態 | 正社員 |
就業期間 | 2009年~2012年 |
HSS型HSPのお仕事経験談No.16:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
証券会社で営業をしていました。
個人のお客さまに対して、電話や訪問にて資産運用のご提案をするお仕事です。
銀行預金や生命保険なども含めて、総合的にご相談に乗るお仕事でもあります。
営業活動は主に電話と訪問にて行い、契約書の作成や商談資料の作成、注文の受発注などデスクワークも含まれます。
営業というとガツガツしている・ゴリ押ししてくる、などあまり良いイメージを持たない方も多いかもしれませんね。
そういう営業員も残念ながらいるんですが…私の職場は比較的穏やかな営業スタイルの方が多かったと思います。

職場環境についてはどうですか?
支店全体は40人弱、私の部署は約10名の営業員が所属していました。
男女比はざっくり3:1ぐらいです。

お仕事を始めたきっかけは?
本当は違う業界を目指していて、金融業界はそこまで興味がありませんでした。
ですが、たまたま面接を通過できたのが金融機関ばかりだったので、「自分に合っているということなのかな?」という軽い気持ちで決めました。
ただ、自分があまり裕福な家庭で育ってこなかったので「お金持ちの人たちって一体どんな人たちなんだろう?どんな考え方をしているんだろう?どうやって財を成したんだろう? 金融機関に勤めたらたくさん出会えるのかな?」という好奇心はありました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.16:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに向いていましたか?
私は外向型のHSPなので、たくさんのお客さまと接せて楽しかったです。
営業職は口が上手い人が有利と思われがちですよね。
でも、それよりも大切なスキルは傾聴です。
お客さまの話に耳を傾け、共感したり、心を開いていただく。
そしてニーズをつかみ、適切なご提案を適切なタイミングで行う。
私はそこまでできる営業ではありませんでしたが、たくさんのお客さまがオープンに接してくださったと思っています。
私自身も、いろんなお話が聞けてとても楽しかったです。
気難しい、と先輩から聞いていたお客さまも私には良くしてくださったり、その結果、大きな契約をしていただけたりして、周りから驚かれました。
HSPは傾聴や共感が得意だと思うので、とても強みになると思います。

働き方についてはいかがでしたか?
スケジュールが割と自由に組める点も合っていたなーと思います。
オフィスへの出社時間は決まっていますが、丸1日お客さま先へ外出したり、デスクワークの日にしたり、午前と午後で切り替えたり…とかなり融通が利きました。
自分の中でメリハリのバランスがとりやすかったですね。
その点では、かなり個人プレーの色が強いと言えるかもしれません。
自分に課された目標数字の達成が、チームへの貢献に直結する仕事です。
例えば会議への出席や社内メールのやり取りなど、どうしても気を遣いすぎてしまう社内コミュニケーションが良い意味で少ないです。
だからこそ職場の人間関係もうまく築けたのかもしれません。
営業である以上、目標数字の達成は切っても切り離せない使命ですが「達成できなかったらどうしよう…」と常に真面目に取り組んできたので、上司や先輩からも信頼してもらえていました。
契約書や商談資料の作成も、ミスが少なく分かりやすいと好評価でした。
お客さまに伝わりやすいように、事務員の方が手続きしやすいように、とおそらく人より細かい部分まで意識していたからだと思います。
その分、最初は本当に時間がかかってしまいましたが、ストレスに感じる部分はできるだけ工夫して改善を重ねて、自分仕様の作成方法をカスタマイズしていました。
書類作成ひとつとっても、関わる人の立場を考えたり、小さなストレスを感じやすいからこそ、それを取り除く工夫ができる点はHSPの特性であり、強みにもなるんじゃないかなと思います。

洞察力が長けている証拠ですね。
相手の立場を考えられるpikkaさんの強みが伺えます。
また、常に新しい知識の学びが求められる点はHSSの私に合っていました。
時々刻々と動く相場や社会情勢、資格の勉強などです。
とても飽きやすい性格に関わらず、部署異動でもしない限りは業務内容ってほぼ変化がないんですね。
そういったところで、新しいもの(知識)に触れられていたおかげで飽きずに続けられたのかなと思います。

「飽きないこと」って軽視しがちですが、HSS型にとっては仕事を続ける上で重要ポイントだと思っています。
HSS型HSPのお仕事経験談No.16:お仕事のデメリット

HSS型HSPに向いていないなと感じた点を教えてください。
ほとんどメリットの裏返しになってしまうのですが…。
コミュニケーションの面では苦労も大きかったです。
相場が動いて損をしてしまったお客さまからの感情的なクレームは、受け取る負のエネルギーも大きく必要以上に消耗したと思います。
また、お話好きなお客さまの場合は特に「ここで切り上げてしまったら気分を害するかな…」と思うと、肝心な商談を切り出すタイミングがつかめずに苦労しました。
社内でも同じです。
忙しかったり、数字の進捗が芳しくない同僚や上司のイライラした雰囲気は、どうしても伝わってきてしまいます。
誰かが叱られているときも、自分が叱られているような感覚になってしまい、集中できないどころか、ひどいと胃がキリキリしてくるんですよね…。

同僚や上司の機嫌、職場の緊張感など、避けようがないダメージが多いですよね。
業務に関してはいかがでしたか?
マルチタスクと頻繁な作業の中断が辛かったです。
オフィス内でデスクワークをしていても、お客さまから電話があれば中断して対応しなければいけません。
さらにそれが、調べものをしてかけ直しが必要だったり、その調べものをしている間にまた別のお客さまからの電話対応が重なるなど、一気に複数のタスクを抱えることも日常茶飯事でした。
頭がパンクして、思いっきりパフォーマンスが下がってしまうので、お昼休憩をつぶす、残業するなどで補っていました。
でもやっぱり最大の辛さは目標数字に対するプレッシャーでしたね。
どうしても調子の良い月、悪い月はあるんですが、それでも
「この商談で数字決まらなかったらどうしよう」
「今月達成できなかったらどうしよう」
という思考は常につきまといました。
自分のせいでチームの足を引っ張るわけにいかないとか、単純に、怒られたくないとか、たくさんアドバイスしてもらったのに申し訳ない…など。

営業職は、ノルマに対するストレスやプレッシャーにどう対処していくかが肝なんですよね…。
よく言えば責任感が強いけれど、自分で自分を苦しめる思考をしがちなのでどんどん萎縮して、普段働く直感も鈍ってしまうんです。
そんなこんなで月末最終日の業務終了後、周りは緊張の糸が切れて安堵の雰囲気になりますが、私には日曜日の晩の感覚で「来月どうしよう」って既に考えていました。
どんなにがんばっても思うような成績が上がらない月が数ヵ月続き、最終的に限界を感じて退職しました。

営業職に関して、pikkaさんがこう締め括ってくださいました。
HSPにとって営業職はメリットもデメリットも激しい仕事だと思います。
やりがいもものすごくあるし、その分しんどいです。
またやってみたい気持ちと、もうやりたくない気持ちが、今は50/50です。
だけど、お客さまにとってHSPはとても良い営業になるんじゃないかな? と感じます。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
HSPの人は傾聴力が長けていることが多いですよね。
なのでクライアントが求めていることをきちんと汲み取って提案できたり、信頼を得やすいんだと感じます。
営業職はHSPの強みを活かせる職種ではありますが、一方でノルマへのプレッシャーを感じすぎてしまったり、ピリピリとした職場の雰囲気が辛かったりして、続かないケースは結構ありますね。
要領の良さが求められますし、クライアントに振り回されることも多々あります。
ただpikkaさんが最後におっしゃっているように、HSPの気質を持っている人はクライアントにとって好印象な営業をすると思います。
営業職を続けていくためにどんなことに気をつけるべきか、対策を考えてみます。

pikkaさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!