「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回は秘書のご経験をみぃさんに語っていただきました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.7:みぃさんについて
まず最初にみぃさんについてご紹介します。
ご年齢 | 30代後半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | 秘書 |
職場環境 | オフィス勤務 |
雇用形態 | 派遣社員 |
就業期間 | 2013年8月~2015年2月 |

HSS型HSPのお仕事経験談No.7:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
外資系企業で、社長秘書・役員アシスタントを、派遣社員でしていました。

どんな環境で働いていましたか?
大企業ではないので、秘書は私1人で同じ仕事をしている人はいませんでした。唯一協力し合って仕事を進めていたのは、社長室担当の50代男性社員さんです。
業務内容は
などをしていました。
他の役員さんが社長と一緒に出張に行かれる際は、社長とスケジュールを合わせるために、役員さんのフライトや宿泊先も手配します。
帰国後は、その流れで役員さんの出張経費精算も、ほぼ私が対応していました。外資系企業なので、英語を使用する機会も多かったです。
本社や海外オフィスと連絡を取るために、英語でのメールやチャットもよくやりました。
本社の社長秘書さんともたびたび連絡を取っていて、出張時のスケジュール表の共有や、企業全体の合同カンファレンスの予定共有などをメールで行っていました。
時差があるのでやりとりはほぼメールで、電話をすることはありませんでした。
また本社の役員さんが来日した際には、会議室手配や書類準備のサポートをするために、英語で会話をする場面もありました。

お仕事を始めたきっかけは?
元々接客業が好きだったので、いろいろな立場の人たちとコミュニケーションを取る機会のある、秘書という仕事に魅力を感じていました。
秘書になる前は別の企業で総務として働いていたので、秘書経験はありませんでしたが、派遣社員という形であれば、事務職の経験だけでチャレンジできるところがあったので、派遣会社に登録して機会を得ることができました。

はじめは別の企業で(そちらも外資系)役員秘書経験を積み、その後こちらの社長秘書になりました。

派遣社員は経験がなくても挑戦できるところが大きなメリットですよね。
私も初めて英語関係の仕事をしたのは「派遣社員」としてです。
経歴なしだったのに採用してもらえたのは幸運でした。
派遣社員という選択肢も視野に入れると、思わぬところにチャンスがあります。
HSS型HSPのお仕事経験談No.7:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに向いていましたか?
まず、外資系企業は個人のデスクスペースがパーテーションで区切られているので、人の視線が気になるHSPとしてはとても落ち着いて仕事ができました。
後ろは見えますが、座ってしまえば前と横は見えないので、パソコンに向かっている顔などは見られることがなく安心できました。
パーテーションの壁に好きな写真を貼ったり、癒されるものを置いたりして、マイスペースを作っていました。
みんなで向かい合って机を並べる、日本的な企業の文化が好きではなかったので、外資系ならではの雰囲気は、今思えば大事な要素だったなと感じます。

私もパーテーション大好きです!
会社員時代も、職場のデスクにパーテーションがあるかないかで安心感の違いが大きかったです。
外資系企業で就業経験がありますが、良い意味でサバサバしている人が多いですね。群れるようなこともほとんどなく、仕事として割り切って働く雰囲気がある印象です。
複数の秘書で、複数の役員さんをサポートする「グループ秘書」というものもありますが、私は一対一の個人付き秘書だったので、周囲の同性に気を遣うこともなくマイペースで仕事ができました。
女性は裏表のある人が多くて昔から苦手なのですが、秘書業務で関わるのは役員さんや部長さんなど男性ばかりなので、とても気が楽でした。
ランチの時間は決まっていましたが、だいたい自分の席で自分の食べたい物を食べていました。
食べ終わったらスマホを見たり、眠いときは寝ていました。社長室担当の男性社員さんたちと2~3人で外に食べに行くこともありました。
また、秘書の仕事は正確性が求められるため、ミスがないかよくチェックしたり、人の気づかないところに気づきやすいHSPさんには向いているお仕事だと思います。
HSS型HSPさんは人と接するのが好きだと思うので、役員さんの他様々な部署の人たちや、お取引先の方々と会話する機会が多い秘書の仕事は、とても楽しいです。
明るく感じのよい気配りができ、相手の気持ちがわかるHSS型HSPさんには、向いていると思います。

考えてみると、秘書に求められていることってHSPの人が無意識にできてしまうことかも。
業務内容も多岐に渡るため、飽きることがありません。
外資系企業は、わりと頻繁にシステムトラブルが発生しがちなのですが、そのヘルプデスクがほぼ海外オフィスにありまして、対処方法をよく問い合わせていました。
新しいことを知るのが好きなので、調べたり問い合わせたりするのは面白く、気づいたら知識がついていて、日本のオフィスでは秘書の私だけが知っていることなどもありました。

好奇心旺盛だったり、新しいことに興味があるのはHSS型HSPの強みになると感じています。
知識がつくことが自信にも繋がって、良い循環が生まれるんですよね。
HSS型HSPのお仕事経験談No.7:お仕事のデメリット

HSS型HSPに向いていないなと感じた点を教えてください。
秘書が私1人だったことも関係していますが、社長のサポート業務以外のことも、すべて自分に集中していました。
秘書が付いていない役員さんから、会議室の確保や事務処理を依頼されたり、不慣れな社内システムの使い方がわからない社員さん(部長クラス以上)からのお問合せがあったりするので、業務過多になっていました。
秘書的な仕事はすべて私がお問合せ窓口に…。頼りにしていただけるのは大変うれしいのですが、困っているとなんとかしてあげたいと思って、みんな助けてしまいます。
完璧主義なところも相まって、一つ一つちゃんと対応してしまうため、結果残業時間がかなり発生していました。
自分のキャパシティを超えていることに気づかず、精神疲労がどんどん蓄積されていました。

依頼を断れなかったり、まだできる、まだ大丈夫、と知らぬ間に自分を追い詰めてしまうHSPの人って多いんじゃないでしょうか。
私も昔はキャパオーバーの繰り返しでした。
また、人よりも長い睡眠時間が必要なのにも関わらず、残業が多いため十分な睡眠を確保できていなくて、常に睡眠不足の慢性疲労状態でした。
一般的な9時始業のスケジュールも体のリズムに合っていなかったと思います。
飲み会に誘われることもよくあり、その分自分を休ませる時間が減るので大変でした。3~4人ならまだいいですが、それ以上の人数の飲み会は気を遣うので苦手です。
飲み会のお誘いは断りにくいので、どうしても周りに合わせてしまい、無理をしていました。自分以外の方々は、何の問題もなく翌日も元気なのですが、私は出社時間ギリギリで全く疲れが取れていませんでした。
HSPさんは人よりも疲れやすいと思うので、自分メンテナンスの時間は大切です。
飲み会文化はとてもつらかったですね。
あとこれは事務職全般のことですが、電話対応中の自分の声を、周囲に聞かれるのがとても嫌でした。
かかってきた電話は嫌でも仕方ないですが、かけるときはなるべく人が少ないときを見計らっていました。

お仕事をお辞めになったきっかけはなんですか?
疲労と睡眠不足が溜まりに溜まって、最終的に体を壊してしまいました。婦人科系の病気になってしまったのですが、原因はストレスと疲労蓄積と睡眠不足だったようです。
ちょうど結婚するタイミングだったのでそこで退職しました。
しっかり休んで病気は治りましたが、自律神経失調症にもなってしまったので、心療内科のお世話にもなりました。 当時の社長室担当の社員さんとは今でも仲良しです。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
秘書のお仕事は、自然と気配りができたり、細かいところに気付けたり、HSPの良さを発揮できる場面が多いと感じます。
その一方で常に誰かのサポートをしていると、自分を犠牲にしてしまう…。
(自分のことを後回しにしてしまう人は、特にですね。)
お身体の不調とご結婚を機に退職なさったとのことですが、みぃさんの強みをしっかり活かせる業務内容、職場環境(外資系企業でのご勤務)だったことが、読んでいて伝わりました。

みぃさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!