「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回は自治体向け営業職のご経験をかたやんさんに語っていただきました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.36:かたやんさんについて
まず最初にかたやんさんについてご紹介します。
ご年齢 | 30代前半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | 自治体向け営業職 |
職場環境 | オフィス勤務 |
雇用形態 | 正社員 |
就業期間 | 2017年2月~現在 |
かたやんさんは、なんと2記事も書いてくださり、今回はその2記事目です。
1記事目(プログラマー&SE)については、こちらです▼
HSS型HSPのお仕事経験談No.36:お仕事内容


お仕事内容について教えてください。
新卒で入社したIT企業で、地方自治体(市役所・町村役場)に基幹系システムを導入・運用サポートを行う部所に在籍し、システムを自治体にセールスする営業マンとして従事しております。
(商品となるシステムの詳細は、SE編に記載)
既にシステムを導入しているお客様に対しては、システムへの機能追加の提案をSEと同行して行うこともあります。
(SEがシステムに追加できる機能の仕様を説明し、営業が金額と理由を説明する形で提案)


どんな環境で働いていますか?
事業本部(オフィスの同じフロア)レベルで見ると300人ほど在籍していました。
その中で営業の部所は15名ほどで、22~60歳まで幅広い年齢層の人がいます。


このお仕事を始めたきっかけは何ですか?
地方自治体向けシステムのSEとして7年従事しましたが、営業部長から「お客様の業務に精通している営業マンを育てたい」という意向から、声をかけていただきました。
営業という職種になるということは、入社以降一度も考えたことがありませんでした。
しかし、SEとしてキャリアを重ねてきたなかで、「違う立場から役所の職員様と向き合うのも良い経験になるのではないか」と考え、職種転向を決断しました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.36:お仕事のメリット


どんなところがHSS型HSPに合っていますか?
営業マンということでコミュニケーション力が求められます。
コミュニケーション力というと、一見自分が話すスキルに目がいきがちですが、それよりも相手の話を聞いて理解する「傾聴力」が重要となります。
HSPの人の多くは優れた傾聴力を持っています。
お客様との商談では、自分がアピールすることよりも、まずは相手の話を聞き、求められているニーズを正確に理解する必要があります。
そのため、傾聴力の高さという長所を活かすという点では向いているといえます。
また、HSS型HSPの人は外向的な気質が強いので、「社内外問わず多くの人とコミュニケーションを取る役割」という点は、合っているのではないかと考えます。


システムを作る前に、専門用語の理解や特殊なルールを理解する必要があるんですね。
かたやんさんご自身に合っていたところはありますか?
7年間、SEとして自治体とのお付き合いがあったため、自治体の業務で使われる業界用語の意味を知っている、自治体の年間のサイクルを知っているという点は、営業に転向してもすぐに活かすことができました。
また、お客様にこれまでのキャリアを聞かれた際に、「〇〇税システムのSEをやっていました」と言えるのは、「ちゃんと分かってくれそう」という印象を持ってもらうには強みとして使えるなと思っていました。
同じ業界のお客様相手という条件でSEから営業へ転向するのは、お客様の業界の基礎知識を既に持っているという意味で大きなメリットだと思います。
HSS型HSPの気質という観点では、やはり外向的な部分は活かせるなと思いました。エネルギッシュに誰とでも会話ができるのは、この職種に合っているなと思います。
HSS型HSPのお仕事経験談No.36:お仕事のデメリット


HSS型HSP、かたやんさんに向いてないなと感じる点を教えてください。
仕事では社内外問わず多くの人と関わるため、調整事が多く発生します。
その際、多くの人のスケジュールやそれぞれの事情・人間関係といったものを考慮して調整しないといけないので、とても気を遣います。
「傾聴力があって気を遣うことができる」という点では上手くいくこともありますが、いろんなものが見えすぎるあまり、考えすぎて疲れてしまいやすいという部分では向いていないのかなと思います。
また、複数のお客様を担当することになるため、常にマルチタスクになることは避けられません。
突然「今すぐこれをやらなきゃいけない」ということも、よく発生します。
そのため、頭の中ですぐに優先順位の判断を付けてテキパキ動けることが求められます。
それを踏まえると、「いろんなことが気になりやすい」「物事をじっくり考えたい」という志向が多いHSPの人には、向いていないのかなと思います。


かたやんさんが辛いと感じることはなんですか?
上記に記載した、「多くの人に気を遣わなければならない」「マルチタスクに対応できなければならない」という点も辛いのですが、1番辛かったのは「言いづらいことでも、時にはお客様に伝えないといけない」ということです。
これは会社員で営業をやっている人にとっても宿命だと思いますが、会社の代表者として営業している以上、自分の意と反していることでもお客様に言いたくないことを言わないといけない場面が出てきます。
「自分でこの金額は高い」と思っていても「これだけ頑張りました!」とお得な雰囲気を出さないといけない、SEの不手際でも営業が謝罪に行かないといけない…
こういった「自分の責ではないのにお客様に叱られないといけない」ということを受け入れることが自分にとって大変なことであったため、1番辛いなと思います。


これ、私も営業部で働いていたとき感じていました。「何で私が…」という気持ちが拭えず辛かったです。
まだ辞めてはいないのですが、近いうちに辞めようと思っています。
その理由として、お客様に対しても、社内の人に対しても、常に気を張って仕事をしていることに限界を感じ始めたからです。
よく上司から「考えすぎ」「性格を変えなさい」と言われますが、「じゃあどうやったらできるのですか?」と聞いてみたいくらいです。
HSPという気質がある以上、それができない可能性が高いので、働く環境を変えるほうが良いかなと考えたので、辞めて新しい道を模索しようと思っています。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
SEのスキルと経験を持ち合わせた営業ができるのは、かたやんさんの大きな強みですよね。
SEで営業できる人って、なかなかいないですし…!
働く環境を変えようと模索なさっているとのことで、どのようなキャリアチェンジをお考えなのか気になります。


かたやんさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!