「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回は県の臨時職員のご経験を、ひとみさんに語っていただきました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.4:ひとみさんについて
まず最初にひとみさんについてご紹介します。
ご年齢 | 20代前半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP(おそらく) |
ご職業 | 県の臨時職員 |
職場環境 | オフィス勤務 |
雇用形態 | 臨時職員 |
就業期間 | 2019年3月~2020年2月 |
HSS型HSPのお仕事経験談No.4:お仕事内容

お仕事を決めたきっかけは?
就職活動をせず今後どうするかという問題を抱えたまま大学を卒業した私は、正社員にはならず、とりあえず好きな国で働きたいという思いから、その資金を貯めるために実家に戻りました。
とにかくお金が必要で、尚且つプライベートな時間をなるべく確保して語学勉強に費やしたかったため、就業場所の条件は必然的に限られていました。
そのため就業場所となったそこは、実家から近いということ、田舎にしては時給が高いということ、というこの二項目の条件をほぼ満たしていたため、その職にとりあえず就くことになりました。

お仕事内容について教えてください。
仕事内容に関してはまったく考慮しませんでした。
仕事内容は主に雑用でした。
単純な入力作業やコピー、お客様がいらしたときにはお茶出し、その他水回りの掃除や他の部署へのおつかいなども行きました。
私が就くことになった部署は暇なときと忙しいときの差が激しく、暇なときは本当に何もやることがないため、残り時間をどのようにやりくりするか神経を使い、逆に忙しいときはトイレに行くのもはばかれるほど。
職場の年齢層は幅広いですが、私がいた部署に関してはとりわけ40代以降の方々が多く、私に対しては娘のように優しく気楽に接してくださりました。
また同年代の方は限られていたのでプライベートで飲みに行くなど自然と交流を深めていき、人間関係は良好でした。
HSS型HSPのお仕事経験談No.4:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに向いていると感じますか?
一般的に職員の方々はPC業務のみ行うため、席を立つのはトイレや休憩時間、お客様対応のときなど、ごくわずかに限られていましたが、私たち臨時職員は雑用が主な仕事内容だったため、席を立ち様々な場所に移動することが多かったです。
そのため一か所に留まる必要がなく、自分の気分や裁量に合わせて場所を移動できるところが私には働きやすかったです。
きっと一日中PC業務しかやることがなかったら、飽き性の私はとっくに音を上げていたでしょう。
急ぎの業務はそれを優先するしかないですが、基本的には自分で優先順位をつけることができるので、自分がそれを今やりたいかやりたくないかという気分で判断し、少しでもやる気がないものは後に回すようにしていました。
業務は基本的に個人作業でしたが、臨時職員が共同で作業することもありました。
私は入力などの単純作業を速く行うことは得意ですが、一方で郵便発送のための梱包やカッターやはさみを使った丁寧さが求められる業務に関しては不得意でした。
そのため自分が任された仕事であっても、もし不得意な内容であれば他の手が空いていてそれを得意とする臨時職員に手伝ってもらい、逆にその人は苦手とする業務だけれど私は何の苦も無く取り掛かれるものであれば、お互いの仕事を交換することもありました。
それくらい融通が利き、自分のペースで無理なくできる業務内容が多かったです。

ひとみさんにとって、業務内容もそうですが職場環境が合っていたんですね!
HSPの視点で考えると、自分のペースで作業を進められるってありがたいなぁ。
臨時職員は職員から業務を依頼されますが、一つの業務が完了し報告に行くと笑顔で感謝されるため、その笑顔一つでとても満ち足りた気分にもなりました。
また基本的に私は好奇心旺盛で様々な人と関わりたい性格なので、業務を通じて職員の方々とコミュニケーションをとったり臨時職員同士で協力して仕事をしたり、雑用のついでに他の部署の方々ともお話する機会があったりと、多くの人と関わることができたことも大変良い点でした。
しかし一方で、少しでも一人の時間を確保しなければストレスが溜まるということを自分で理解していたため、昼休憩の際は一人で共有スペースに行って食べることも多々ありました。
そのような環境が整っていたため周囲とは適度な距離感を保つことができました。
もちろん嫌なこともありましたが、そういうときは好きなマグカップに好きな飲み物をいれたり、日々のマンネリ化を防ぐために服装や持ち物に変化をつけたりネイルを変えたり…。
そういったことに寛容な職場環境であったのもストレス緩和に役立ちました。

誰かと関わりたい気持ちと、一人でいたい気持ち。
このバランスをうまく保つことが大切なんですが、難しいんですよね。
私自身もまだまだ課題ポイントです。
HSS型HSPのお仕事経験談No.4:お仕事のデメリット
臨時職員は任期を満了すると退職せざるを得ないため、11ケ月が経つ頃には自動的に職場を離れることになりました。
そのため自らの意思で辞めたわけではないですが、やはり仕事をする上で辛いことはいくつかありました。

どんなことが辛かったですか?
仕事内容としては特別なスキルや知識が必要なく、当然学歴や経歴も関係ないため、言ってしまえば余程のことがない限り誰にでも務まるものでした。
そのため日々働きながらも私じゃなくてもいいんだろうなというような思いが常にありました。
代わりはいくらでもいるし、私は私で輝ける場所が他にあるのではないだろうか…と。
仕事内容を考慮せず選んだとはいえ、それなりに仕事に慣れてくればこのような感情は自然に湧いてきます。
単に飽きてきたのでしょうが、毎日このような思いを悶々と抱えながら仕事をするのは少し辛かったです。
とはいえこのようなことを考える暇もなく忙しいときもありました。
一度に複数の方々から業務を依頼されたとき、どうしたらいいか分からずうろたえることが多々…。
考えすぎて優先順位をうまくつけられないんです。
HSPでない人ならそこまで考えずとりあえず片付けることができるのでしょうか。
例えば、不明な点があった場合勝手に進めずその都度聞きに行くのですが、その方の状況を汲み取りすぎてなかなか聞けないことがありました。
来客対応や電話対応をしているわけでもないので一見話しかけても良さそうと思われる状況であっても、その人の醸し出す空気で、今は集中しているなとか、今はイライラしているな、ということが分かるため、聞くべきではないと判断していました。
そうこうしているうちに次の仕事が舞い込んでくることもあるので、余計にうろたえてしまうという悪循環に陥るんです。

ひとみさんと同じように感じたことがあるHSPの人は多いのではないでしょうか。
空気が読めすぎてしまうからこその辛さ…。
そして1度リズムが崩れると整うまでに時間がかかってしまったり、最悪の場合パニックに。
職場環境に関して言えば、少しでも暑かったり寒かったり空腹を感じたりすると、そのことに気を取られてしまいなかなか集中できないということも。
自分だけの意志でエアコンを起動したり窓を開けたりはできなかったため、体温調節には少し困りました。
それから、私は昼休憩の際は基本的に一人で食べていたのですが、たまに同じ女性の臨時職員が集まって一緒に食べていました。
さすがに毎日一人で食べていたら感じ悪いかな、と気にしてあえて一緒に食べる日を作っていたのだが、その日の一時間は私にとっては休憩時間ではありませんでした(笑)
話題についてこれていない人には話題を振って、今この人は口に食べ物を入れているから質問しないようにして…、あ、私ばっかり話しすぎたかな?少し黙ろう…
というように、頭の中で絶えず考えながら話すため、お弁当の味がよくわからないままいつの間にか食べ終わっているということが多々ありました。
仲の良い友人や家族と食べる食事ならこのようなことはないのですが。

昼休憩は人とのコミュニケーションを休憩する時間!とわたしは捉えていました。
私も親しい人たち以外と一緒に食べると、食事の味がわからなくなります…。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
全体を通して感じたのは、ひとみさんはご自身の性格をしっかり理解して、負担になりすぎないように対策なさっていたということ。
そして好きな国で働きたいという明確な目標があって、達成するために仕事を冷静に選べる強さも感じました。
私事ではありますが、その目標が留学を決めた過去の私に重なり、心から応援したくなりました。

ひとみさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!