「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回はネイルケアリストのご経験をあんこさんに語っていただきました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.29:あんこさんについて
まず最初にあんこさんについてご紹介します。
ご年齢 | 30代後半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | ネイルケアリスト |
職場環境 | 店舗勤務 |
雇用形態 | アルバイト勤務から正社員へ (店長職) |
就業期間 | 2014年4月〜2016年12月 |
HSS型HSPのお仕事経験談No.29:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
お客様の手足の爪の形を整える、余分な甘皮や角質を取り除く施術が主な仕事でした。デザインネイルは無く、手肌のお手入れ方法などをお客様にお伝えしていました。
他には、予約の管理、商品の受発注、不足品の買い出し、従業員のシフト作成などです。

このお仕事を始めたきっかけは何ですか?
フリーターだった当時、将来に不安を感じました。
そこで手に職だと思い立って、昔から好きで続けてセルフネイルもしているし、いくつになっても続けられそうだなと思い、ネイリストを選びました。
学校に半年通い就職に必要な資格を取得。
求人に「ケイルケア専門」と書いてあり、私はあまりデザインネイルが好きではなく地爪をキレイに保ちたいと思っていたことに共感をして応募し、採用となりました。

どんな環境で働いていましたか?
職場は小さい店舗で、30代の女性のみで4人程でした。
HSS型HSPのお仕事経験談No.29:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに向いていましたか?
施術後に、お客様が爪の形や手肌の変化に喜ぶ姿を直ぐに見ることができたこと、お客様が再来店されたときに、手肌の保湿方法をアドバイスして実際にやってみたことで爪が以前より良くなった、と言ってくれたときはお客様のお役に立てたと感じ、とても嬉しかったです。
あと、来店されたときの表情や手肌の状態を見て、おすすめのアイテムやお手入れの方法を提案することが得意でした。
お客様一人一人に合う話し方を変えていたので、説明が分かりやすいと良く言っていただけました。

他にはありますか?
毎日ハンドケアについて話していたので、専門の知識を深めることが楽しかったです。

職場環境や人間関係はいかがでしたか?
環境面では、常にお客様がいたので店内で他の従業員と必要以上に話す必要がなかったのは助かりました。
買い出しが必要なときは1人になって外に出るチャンスだったので、率先して外出していました。
とてもいい気分転換でした。
店長に昇格して別店舗に転勤した直後は、1人で開店から閉店まで行っていたので、自分のペースを保ちながらお仕事ができてよかったです。

店長は責任が伴いますが、自分のペースや裁量で仕事を進められるのはメリットですね。
HSS型HSPのお仕事経験談No.29:お仕事のデメリット

HSS型HSP、あんこさんに合ってないなと感じた点を教えてください。
私に合っていなかったことは、まず環境面です。
常にお客様がいたので、どこにいても体と心がリラックスできませんでした。
緊張が高まって手が震えてしまって、施術中に席を立ってしうことが何度かありました。
あと隣の席と距離が近かったので会話が丸聞こえで、正面のお客様との会話に集中できなくて困りました。

お仕事内容はいかがでしたか?
職人的に無口ではなく、ほぼ接客で手元は動かす、ハンドケアの説明、商品のおすすめ、次の施術の進行を考える、を同時に行っていたので、マルチタスクが不得手な私は1度の施術でぐったりしていました。
予約調整を自分でできるようになってからは、次の予約までに小休憩を挟めるように間隔を開けたり、1日の予約数をセーブしていました。
とにかく1人になれる場所が店舗になく息抜きできなかったことが最も辛かったです。

人間関係では何かありましたか?
転勤先で、新しいスタッフに接客対応や施術について細かく指導しなければいけないときに、指摘することがストレスでした。
必要と分かっていても辛かったです。
あと、指名のお客様が増えることは嬉しかったんですが、なかなか会話が弾まない方もいたので、無言になると心の中では焦っていました。
今思うと、お客様はあまり会話は求めてなかったんだろうなと思います。
HSS型の特徴が出ていると感じたことは、時間拘束が長く同じところにずっと居なければいけない、毎日同じ説明を繰り返すので飽きてしました。
対処法としては、同じ言い回しばかり使わず、言い方を変えてお客様に伝わるかどうか日々工夫していました。

毎回同じような作業で飽きてしまうこと、HSS型にはよくありますね。
対処法をご自身で工夫なさっていて努力が伝わります。
金銭面で大変だったことは、美容業界特有かもしれませんが、給料がとにかく低かったです。
社員でも大卒の初任給より低かったかもしれません。
生活への不安も追い討ちでした。
「それでも頑張らないと!」と思って空回りしていました。
結果として体と心に支障をきたしました。
極度の肌荒れ、眠いのに眠れない、気分の落ち込み、朝起きれない…心の悲鳴と思いたくなくて無理に運動などしてみましたが、結果は変わりませんでした。
これ以上は続けられないと分かって退職しました。
退職後しばらくは、ただただ長時間眠る毎日でした。
私は退職しか手段がないと思うくらい自分を追い詰めてしまったので、もっと誰かに相談すれば良かったと思います。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
ネイルケアのお仕事は接客しながらサービスを施すので、高いコミュニケーション能力が求められる印象です。
業務内容と給料は、どちらか一方を優先しすぎると、身体の不調が出てくるんじゃないかと思っています。
いくら楽しいこと、やりがいが大きくても、生活するにはある程度の金額が必要なので…。
あんこさんが仰っているように、退職する前に働き方の相談ができる人がいたら違う道もあったかもしれません。
ですがご自身が納得して、大きく体調を崩す前に退職なさったのは良かったと感じます。

あんこさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!