「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回はカラオケ店スタッフのご経験をひじりさんに語っていただきました。
HSS型HSPのお仕事経験談No.30:ひじりさんについて
まず最初にひじりさんについてご紹介します。
ご年齢 | 40代前半 |
HSP? HSS型HSP? | HSS型HSP |
ご職業 | カラオケ店スタッフ |
職場環境 | 店舗勤務 |
雇用形態 | パート |
就業期間 | 2004年〜2016年 |
HSS型HSPのお仕事経験談No.30:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
仕事内容は
が基本です。
私は店長補佐的な立ち位置でしたので、ドリンクバーや食材の管理発注、季節のフードメニューの提案、POP製作や店内装飾、新人アルバイトの教育等もしていました。

どんな環境で働いていましたか?
入社当時、私は20代半ばの主婦で、お昼の時間帯は同じくらいの子を持つ30代前半の主婦さん2名、夕方から深夜までは学生さんと20代前半フリーターさん、男女比は半々くらいだったかと思います。
店長は当初20代前半の若い男性でした。
お店全体で15名前後が在籍していたと思います。

このお仕事を始めたきっかけは何ですか?
カラオケ店に勤める前は、学生時代にコンビニのアルバイト、新卒正社員で事務職、アパレル販売員、クラブホステスを経験しました。
事務職は毎日地味な作業の繰り返しとセクハラにより、やりがいを感じられない上にストレスが増え、半年ほどで退職してしまいましたね。
就職氷河期でしたのであまり深く考えず決めてしまいましたが、「HSS型HSPには向いてないよなぁ…」と、今ならわかります。笑
結婚出産し、2年ほど専業主婦をしていました。
保育園児2人と精神障害のある両親を持つ身でしたので、シフトの融通が利く接客サービス業を探していました。
すると希望シフト制でスタッフを募集していたカラオケ店を発見。
未経験の業界で興味がわき、即電話!(The HSSですね。笑)
家庭事情を全て面接時に話した上でパート採用していただき、運よくカラオケ店スタッフとして仕事復帰したという経緯です。
HSS型HSPのお仕事経験談No.30:お仕事のメリット

どんなところがHSS型HSPに向いていましたか?
カラオケ店の業務はとても相性が良かったですね。
プライベートは浅く広くよりも深く狭くという人間関係で、適度な距離感を保てる人だけしか付き合えない私ですが、「人」そのものは好きだったんですよ。
おもしろいじゃないですか、人間って。笑

わかります!
趣味が人間観察ってくらい、人に興味があります。
カラオケ店には老若男女幅広い年齢のお客様がいらっしゃいますので、アパレルやホステス時代とはまた違う楽しさがありました。
特にシルバー世代のお客様がお昼は多いので、人生の大先輩方とのお話は楽しかったですし、勉強になることも多かったですね。
単純におじいちゃんおばあちゃんが好きっていうのもありますけどね!

他にはありますか?
アパレル、ホステス、カラオケ店共通して言えるのですが、お客様からの「ありがとう」「楽しかった」「また来ますね」などのお言葉や、笑顔になっていただけることによって、私も仕事のやりがい、充実感と元気を頂いていました。
カラオケ店では、だいたいお話するのは受付時かお会計時だけなので、1対1でお話する時間が短かめだったこともストレスがかからずよかったですね。
それに長年勤務していると、中学生反抗期真っ只中でやんちゃしていた子が立派な社会人になっていったり、クールで無口な子がどんどんイケメンに変貌していき、彼女を連れてくるようになったり…
そういったお客様の変化が垣間見れたことも、マンネリ化せず仕事を楽しめた理由の1つだったのかもしれません。
業務内容が多岐に渡るのも長続きした理由だと思います。
今は「もう絶対無理!」というくらいマルチタスクをこなして動き回り、1日があっという間に終わっていました。

職場環境や人間関係についてはいかがでしたか?
職場での人間関係が、奇跡なのではと思うくらい良かったです。
これが12年間続けられた最大の理由かなと思います。
店長もHSS型HSPだったので職場の雰囲気作りと人を見抜く力に長けていましたし、発達障害や精神疾患を持つ学生さんを積極採用して育てるのも上手でした。
そんなお店のスタッフたち(私を含め)を一言で表せば
「優しさと個性溢れる、マイノリティ精鋭軍団」
でしたね。
「自分はマイノリティではないんじゃ!?」と、勘違いするほどでしたから。笑
今でもたまに連絡を取る主婦の方たちと、「あんな職場、後にも先にも無かったよね~。ホント楽しかったし、今思うと幸せ過ぎる職場だったね!」と、毎度のように話題になるくらい、本当に良い職場でした。
HSS型HSPのお仕事経験談No.30:お仕事のデメリット

HSS型HSP、ひじりさんに合ってないなと感じた点を教えてください。
向いてなかったと思ったことは…
うーん、パッと思いつかないです。

なんと!先ほど仰っていた、人間関係の良さの大切さが伝わります…。
辛かったことはありますか?
辛かったことは2つあります。
1つ目は、年々体力的にキツくなったこと。35歳以降、急激にしんどくなりました。(苦笑)
2つ目は、長年通っていただいていたご年配の常連様何名かが、(最近ご来店されてないな…)と気付いてしまったときです。
他店に浮気されただけならいいのですが、「病気になり倒れてしまったのだろうか」「もしかして旅立たれたのか…」とHSP気質全開になってしまい頭の中から離れず、その日1日は引きずったまま仕事、ということが何度かありました。

お仕事をお辞めになった理由は何ですか?
経営者が変わり、店長が独立退職してしまったのがきっかけでした。
人件費削減のためワンオペで回さなくてはならない時間ができてしまったり、お店の雰囲気がガラリと変わってしまったんです。
そんな中私の父親が入院し、1人でお店を回している時間に何かあったら、すぐにお店を抜けられない…というプレッシャーがかかり、退職に至りました。
仲良くさせていただいていたお客様との別れはとても寂しかったですが、辞めるご報告をしたときの皆さんからの温かい言葉の数々を、今でも覚えています。
皆さん元気にしているでしょうか…。

最後にこう締め括ってくださいました!
現在はIT系のA型事業所で、テレワークと出社半々くらいでお仕事しています。
事業所内の静かな空間にいると聞こえてくる生活音やタイピング音、職員さんの話し声などが気になってしまい集中できないので、イヤホンをして自分の好きな音楽に包まれながら仕事に集中しています。
家でも音楽を垂れ流してるときのほうが多いかもしれません。
根っからの音バカなので、ジャンル問わずそのときの気分や体調に合った音楽をチョイスしてる感じですね。
それで、「カラオケ店でもそれやってたわ!」と思い出したんです。
店長が、音バカな私に店内BGMのmixを作らせてくれたり、他の時間帯のスタッフも、持参のLiveDVDを流していたりしてましたね。
音楽好きと仕事の忙しさが功を奏して、「店内空間が苦ではなかったんだな」「ある意味オフィスBGM的な役割果たしていたんだな」ということに気づかされました。
HSS型HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
向いていないと感じることが思い浮かばなかったほど、カラオケ店の店長さんやスタッフの方々、職場環境が良かったんですね…!
勤務年数、12年ですよ!?
羨ましくなりました。
カラオケ店は静かな空間とは真逆なのであまりHSPには向いていないと感じていたのですが、一緒に働く人の相性、人間関係の良さで大きく変わるんだと再認識できたご経験談でした。
やっぱり人だよね、うん。

ひじりさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!