「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回は金融機関の事務のご経験をあさくらさんに語っていただきました。
HSPのお仕事経験談No.17:あさくらさんについて
まず最初にあさくらさんについてご紹介します。
ご年齢 | 40代前半 |
HSP? HSS型HSP? | HSP(HSS型かも?) |
ご職業 | 金融機関の事務 |
職場環境 | オフィス勤務 |
雇用形態 | 契約社員 |
就業期間 | 2015年12月〜2019年4月 |
HSPのお仕事経験談No.17:お仕事内容

お仕事内容について教えてください。
金融機関での事務作業でしたが、金融業務にはほとんど触れませんでした。
資料を作ったり、データ入力、保存文書の電子化、その他、電話の取り次ぎなどの雑用などに従事しました。

お仕事を始めたきっかけは?
高校を中退後、引きこもり、通信制高校、仕事を転々とし、ニュージーランドにワーホリに行ったりなど紆余曲折を経ました。
その中で比較的楽だったのが事務だったので、事務に絞りました。
いくつかの求人を見ている中で、事務の求人を見たとき、ふっと心が軽くなるのを感じました。
2つの求人に応募し、上記の所にだけ受かりました。

どんな環境で働いていましたか?
多数の店舗を管理する本部の、主に事務処理を管理する部署に配属されました。
女性が多かったですが、男性もそれなりにいました。(女性と男性で6:4くらい)
年齢的には、40代以上がほとんどで、入社した時点(35歳)では最年少でした。
部全体で20数名で、僕のいた課内だと10数名といったところでした。

残業等がないのは、派遣社員ならではのメリットですね。
HSPのお仕事経験談No.17:お仕事のメリット

どんなところがHSPに向いていましたか?
結果として時間内に仕上がっていればいいので、どう仕事を進めるかは自分の裁量で決められるのはやりやすかったです。
また小さなことですが、自分なりに工夫出来る余地があることもモチベーションに繋がりました。
僕はどれから取り掛かろうかな、などと考え込むことが結構多く、新しい作業は覚えるのに時間が掛かります。
作業を何度も繰り返して「これはこう処理するので大丈夫」と確信を持てないと安心して進められないためです。
そういうマゴマゴした所は見られずに済むのは助かりました。
確信が持ててからは作業が格段に早くなるので、結果的には「覚えるのが早い」「出来る人」と見られていました。
(自分で言うのもなんですが。笑)
急な予定変更で固まっても、気付かれません。
また、細かい所に気付くのでミスも少なかったです。
「上司からは完璧に仕上げてくれている」と言われました。

ミスが少ないのは羨ましいです。
細部にまで意識が向けられる証拠ですよね。
HSPのお仕事経験談No.17:お仕事のデメリット

HSPに向いていないなと感じた点を教えてください。
気になると探求したくなる
ある意味、メリットでもありますが、
新しい機械が入ってきたとき、「ここは何のためにあるんだろう?」「こうなったときはどうしたら?」などといろんなケースが思い浮かび、試してしまいます。
それで仕事が進まないまま時間が過ぎていく、ということがありました。
(ただ、多分その機械については一番詳しくなりました。)
いつもの作業中でもやりがちでした。
リスクが気になるがまともに取り合ってもらえない
途中から、文書の電子化の作業が加わり、大量の書類(個人情報)を別室に運び込んだのですが、それの管理がずさんだ、と感じました。
しかし自分にはどうすることも出来ず、言われた通りにするしかありませんでした。
頭の中では、
「個人情報紛失!ずさんな管理!」
という新聞の見出しが浮かんできました。
「何かあっても、最近入ってきた非正規の人間が責任を問われることはない」とは思いますが、関わった以上気持ちの上でそれでは済みません。
かなり参っている中、新人さんが来るので教えるようにと言われ、「紛失などが心配。そんな中で新人に教えるのは不安だ」という旨を部長に伝えました。
すると、単にしんどくて愚痴ってるだけ、と思われたのか
「代わりにA君(後輩)に教えてもらう、というのも一つのやり方だな」
と言われ、そういうことじゃないんだけど…と絶望してしまいました。
境界線が曖昧で、会社全体、果てはお客さんのことまで心配に
電子化の作業では、支店が書類をスキャンしてそのデータを送ってきて、それを僕らが確認して保存する、という流れでした。
しかし大事な所が写ってないなど、ミスだらけでした。
(最初の頃は、全て差し戻す、という日も。)
そもそも、その書類の処理の仕方を、支店の人たちはあまり分かっていませんでした。
この作業、軽んじられているなぁ、と後輩とボヤいていました。
(実際、本来の業務ではなく、そのデータが必要な場面もあまりないので、しょうがないのですが。)
そのうち、その画像データを見ると「混乱しているな」「頑張ってくれているな」などとデータを送った人の立場で感じられるようになっていきます。(苦笑)
(あくまで想像なのですが、自分をその立場に置いて、結構リアルに我がことのように感じます。)
たまに、僕がそれを支店に伝える事もありましたが、嫌で嫌でしょうがありませんでした。
おまけに、個人情報が流出して、お客さんに迷惑がかかるのでは、とお客さんの立場にも自分を置くようになっていきます。
新しい作業が始まってから、納得のいかないことがどんどん増えていきましたが、言ったらどんな風に返されるか想像がつくので言えません。
自分の負担、境界線を超えて他の方の負担までも勝手に背負い、どんどん辛くなっていきます。

就業環境についてはいかがですか?
部屋が窮屈
物が多く、整理されてないので窮屈に感じました。
(僕自身も片付けは苦手)
通路は横にならないと通れず、移動するときには座席の後ろを通るのがかなりストレスでした。
人の動線を考慮されていない配置で、プリンターや文房具などの置き場があちこちに散らばり、さらに引き出しも開けにくいなど、さらにストレス。
また、デスクが仕切られていなく、隣とつながっている上にデスクワゴンは隣の人と共用。
毎日何回も使用するだけに、小さいストレスが蓄積されていきました。
このストレスは結構しんどく、今思い出しても、ずしっと疲れを感じます。

お仕事をお辞めになった理由なんですか?
1番の理由としては、やり切った感じがありました。
「もうここでやれることも、やりたいこともない」
体調を崩したことがきっかけで、そんな感覚が湧いてきました。
ある朝、腹痛に襲われ、出勤前に病院に寄りました。
原因が分からず、とりあえず点滴を受けることになり、ベッドに横たわった時、
「これで動かなくていい」とホッとしたことに驚き、涙が流れました。
どこに居ても、何かしなきゃ、といつも何かに追われ、家にいても、掃除とか片付けとか、「すること」が次から次に思い浮かんで心が休まらない、そんな状態であることを再認識させられました。
思い返すと、僕は「擬態」をしていたな、と思います。
「普通」「出来る人」のように見せて受け入れられようと必死でした。
作業自体、そんなに難しいものではありませんでした。
それでも手を抜くことが出来ず、とことんこだわり、やり過ぎてしまいます。
先に挙げたデメリットでのストレスも重くのしかかっていたのだと思います。
僕はそれでもその職場での自分の働きを、よくやった、と誇りに思っています。
しかしもう同じようには頑張れない、生き方を変えるときだな、と思いました。
僕が望むのは「何が1番いいのか、をみんなで話し合い、納得して仕事がしたい」ということです。
今後は、自分らしく在れる環境、働き方を目指していきます。
HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
細かいところまで目が行き届くがゆえに、働きづらくなってしまったのかな、と感じました。
事務作業は、細かさや正確さが必要なのと同時に、要領の良さも求められてくるのでなかなか難しいところですね。
しっかりご自身のお気持ちに向き合って、あさくらさんが納得のいく働き方を見つけられるよう願っています。

あさくらさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!