「HSP/HSS目線で語る職業のメリット・デメリット」について当事者の方々に書いていただいています。
今回はクレープ店員のご経験をすがもさんに語っていただきました。
HSPのお仕事経験談No.12:すがもさんについて
まず最初にすがもさんについてご紹介します。
ご年齢 | 20代後半 |
HSP? HSS型HSP? | HSP |
ご職業 | クレープ屋 |
職場環境 | 店舗 (商業施設内の一角) |
雇用形態 | アルバイト |
就業期間 | 2011年4月から、約4年間 |
HSPのお仕事経験談No.12:お仕事内容
大学生の頃に、商業施設の中にあるクレープ店でアルバイトをしていました。

お仕事を始めたきっかけは?
アルバイトをするきっかけとしてはありがちですが、前のアルバイトをやめて新しいアルバイトを探していた時期に、大学の先輩に誘われ応募しました。
クレープ屋の前は塾講師として働いていたのですが、飲食でも働いてみたいと思ったことと、甘いものを食べるのも好きで、「楽しそうだなー」というイメージから、あまり深く考えず始めました。

お仕事内容について教えてください。
仕事内容としては、想像される通り調理、接客がメインで、その他に店舗内の清掃や材料の発注などもありました。
調理も接客もしなければならないので、小さな業務1つ1つを数えていくと、やることは多かったかもしれません。
調理はお客さんへ提供する商品を作るのはもちろんですが、クレープ生地の仕込みや、トッピングとなるフルーツなどのカットなども行っていました。
クレープ屋ではありますが、クレープだけでなくアイスクリームやタピオカドリンクやジュースなども販売していて、メニューは50種類以上あったと思います。
クレープ生地をきれいに、丸く焼けないことには始まらないので、うまく焼けるようになるまで、毎日のように生地を焼いていたことを思い出します。
生クリームなども綺麗に絞れるようになるまで何回も練習していました。

どんな環境で働いていましたか?
大学の近くであったこともあり、従業員は私と同じ大学生のアルバイトが多かったですが、社員さんと30代くらいの主婦さんもいらっしゃいました。
全員で10人弱くらいの小さいお店で、女性8名、男性2名くらいの比率でした。
休日はファミリー層が多く来ることもあり、土日は2~3人、平日であれば1~2人でお店を回していました。
基本的に勤務先は固定でしたが、ほかの店舗にヘルプに行くということも年に数回くらいですが経験しました。

関係ないけど、クレープって、作るところを含めて美味しさが滲み出ているスイーツだと思ってます。
HSPのお仕事経験談No.12:お仕事のメリット

どんなところがHSP、すがもさんご自身に向いていましたか?
たくさん人がいると気を使いすぎて疲れてしまうので、お店の従業員の人数が少なかったこと、また1人でお店を回せたことは、私にとってよかったのかなと思います。
レシピや一通りの流れを覚えるまでは、なかなか調理もスムーズにできず大変でした。
ある程度メニューを作れるようになってからは、1人でお店を任せてもらえました。
他の人を意識しなくてよかったので、自分のペースで仕事を進めることができ、やりやすかったです。
もちろん、お客さんが来店された際には接客しなければなりませんし、混んだときも1人で対処しなければならず慌ただしいときもありました。
そんなときは「もう1人いてくれたら良かったな」と思うこともありましたが、普段ずっと忙しいというわけではなかったので、掃除をしたり、仕込みをしたりと、もくもくと仕事ができました。

1人でできるかどうかで、同じ作業内容でもストレスのかかり方が全然違うんですよね。
他にはありましたか?
相手の考えていることを感じ取る、自然と気配りができるからか、案外接客も向いているのかなと感じました。
商業施設の中にある店舗の1つだったこともあり、お子さんからご年配の方まで幅広い年齢のお客さんがいらっしゃいました。
ご年配の方だとクレープに慣れていない方も多く、戸惑っている方も多かったのですが、「あれ?このメニューを探しているのかな?」と察することができたので、メニューを教えたり、臨機応変に対応できていたかなと思っています。
この頃はHSPだという自覚はなかったですが、今思うとHSPの気質によるもので感じ取って対応できていたのかもしれません。
これは私だけかもしれませんが、業務自体をゲームのように楽しんで行うことができていたので、あまり苦に感じることは少なかったかなと思います。
定番のメニューでも50種類近くあり、イベントの時期になると期間限定メニューが増え、常にたくさんの種類のメニューがありました。
ですがベースとなるクレープが作れるようになれば、組み合わせを変えていくだけだったので、レシピ自体はそんなに難しくありませんでした。
なので自分の中でひっそりと「どれだけ綺麗に早く作れるかチャレンジ」だとか、「閉店作業のタイムアタック」だとかゲームのように楽しんで働いていました。
楽しんで仕事ができたので、続けることができたのかなと思います。
あとは小さなお子さんのキラキラした表情を見るのはとても楽しかったですね。
クレープを焼いている姿が見えるような店舗になっていたので、目を輝かせながら見ているお子さんも多かったです。
魔法か何かを見ているかのように楽しそうな表情を見ていると、こちらもほっこり暖かい気持ちになっていました。

クレープ作りを見学できるのって、ワクワクします。
お客さんの笑顔に動かされるのもHSPの良さでは…!
HSPのお仕事経験談No.12:お仕事のデメリット

HSPに向いていないなと感じる点を教えてください。
業務がものすごく辛かったか、嫌だったかというとそうではないのですが、強いて辛かったこと、嫌だなぁと思っていたことあげるとなると、お客様へのお声がけです。
お客さんに声を掛けるタイミングを伺うのはずっと苦手意識がありました。
「今、声をかけてもいいのかな?」など考えすぎてしまって、なかなか声がけができませんでした。
また、呼び込みなども最初は恥ずかしくて上手く対応できず、戸惑う場面も多かったです。
ただ何回か経験するうちに、「これはもう仕事だから」と割り切って行うようにしていました。
失敗することを気にしすぎていた部分もあったのですが、「失敗してもいいやー」くらいに考えるようにして、声をかけたりしていました。

他に辛かったところはありますか?
お客さんの発言に圧倒されてしまうことがあり、それは辛かったです。
場所柄いろいろな年齢層のお客さんがいらっしゃるので、中には変わった方もいらっしゃいました。
何故だかわからないけれど、腹の虫の居所が悪いのか、怒りながら買い物をされている人もいたり…。
ただ単に八つ当たりされているのか、怒りが隠しきれなかっただけなのかわからないのですが、なんだか嫌な気持ちになりながら接客していたこともありました。
そういったお客さんが来るのは極稀ですし、とても忙しいときだとそういったこともあまり気にしなくなるので、常に嫌だなぁと引きずることもなかったかな、と思います。

接客業ではありがちですが、お客さんを選べないのは悩ましい…。
いちいち気に留めずスルーできればいいのですが、なかなかできないんですよね。
職場の人間関係はいかがでしたか?
シフトの連絡やちょっとした業務連絡などLINEでやり取りしていたのですが、これが私には面倒くさかったなと思います。
なにか連絡があれば返信をしていましたが、いちいち文面を考えては消してを繰り返していたように思います。
返信の内容なんてそんなに気にしなくてもよかったのだと思いますが、そうは言ってもやっぱり気になってしまっていました。
些細なことなので、深く悩むということはありませんでしたが…。

最後に、興味深いコメントが。
何点か働きにくいなという点を挙げましたが、大学を卒業するまでは同じところで働き続けることができました。
「アルバイト」という働き方だったから、責任や利益など難しいことは考えずに自由に働くことができたというのが居心地のよさの1つだったと思います。
また、飲食店であってもいろいろな業務形態や規模がありますが、少人数の店舗だったことも私にとって働きやすさに大きく関わっていたかなと思います。
HSPのお仕事経験談を聞いて感じたこと
お仕事の内容だけでなく、すがもさんの仕事への向き合い方に、私自身学ぶことがたくさんありました。
特に印象に残ったのが、ゲーム感覚で作業をミッション化して取り組むこと。
同じ内容でも印象やストレスは全然違いますよね。
アルバイトならではの良さも教えていただき、この企画の働き方の幅をぐっと広げてくださいました。

すがもさん、ご経験を語っていただきありがとうございました!